# JOFI東京 (一社)全日本釣り団体協議会認定
東京都釣りインストラクター連絡機構
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練馬区游游スクールの資料

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スクール資料(PDF)

白子川(練馬区東大泉3丁目近辺)で見られる水辺の動植物(2022/07/07現在)

※原則として遊歩道からの目視のみで、採捕しての同定は行っていません。また、画像はすべてスマホのカメラで撮影したものです(目的の被写体が必ずしも的確に表示されているとは限りませんことをご了承願います)。

白子川:
練馬区立大泉井頭公園の七福橋辺りを水源として、(荒川水系)新河岸川に合流する延長10kmの中小河川(一級河川)です。

1. 植物
2. 魚類
3. 爬虫類
4. 鳥類
5. 昆虫類・甲殻類
6. 番外編

1. 植物

ヨシ(イネ科)

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国内分布:北海道~沖縄
開花時期:8~10月
在来種
 地下茎で増殖

ツルヨシ(イネ科)

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国内分布:北海道~沖縄
開花時期:8~10月
在来種
 「ツル」と言っても、他の植物に絡みつく訳ではなく、茎が倒れて地表を這い、節から花茎が立ち上がります。

フトイ(カヤツリグサ科)

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国内分布:北海道~沖縄
開花時期:6~9月
在来種

ミクリ(ガマ科)の仲間

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国内分布:北海道~九州
開花時期:6~9月
在来種
 練馬区の水辺環境調査 平成19年度 水生生物調査確認一覧を参照すると、ミクリとナガエミクリの確認が報告されています。

セキショウモ(トチカガミ科)

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国内分布:本州・九州
開花時期:8~10月
在来種

オランダガラシ(アブラナ科)

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国内分布:北海道~沖縄
開花時期:3~8月
★外来生物
 ヨーロッパ原産の多年草。葉や茎が食用になり、クレソンとも呼ばれています。

オオフサモ(アリノトウグサ科)

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国内分布:北海道?~沖縄
開花時期:5~6月
★特定外来生物
 外来生物法は、外来種による被害を防止するため、平成17年6月1日に施行されました。 生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある海外由来の外来種のうち、特に影響の大きいものを「特定外来生物」として指定し、その飼育、栽培、保管、運搬、輸入、譲渡、野外に放つこと・植えること・まくこと等を原則禁止しています。 これに違反すると、最高で個人の場合3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金が科せられます。
 湖沼やため池、河川、水路に群生する多年草。しばしば水面を覆いつくし、在来水草を駆逐します。切れた茎などからも再生を繰り返し下流部に分布を拡大します。駆除する際には専門家を交えるなどして細心の注意を払う必要があります。

ミズヒマワリ(キク科) 

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国内分布:本州・四国・九州
開花時期:6~11月
★特定外来生物
 南米原産の多年草。園芸目的で栽培されていた株が逃げ出し、2000 年頃から各地で広がり始めたそうです。アサギマダラをはじめ昆虫に対して誘引性が高く、間接的に他の植物などの繁殖を阻害する可能性が高いとも言われています。 アサギマダラは幼虫の食草であるキジョラン、イケマなど、ガガイモ科の植物を求めて長い旅をするチョウですが、私が白子川で目撃した際には1月以上も留まってしまい、繁殖に大いに影響するのではないかと思っています。

キショウブ(アヤメ科)

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国内分布:北海道~沖縄
開花時期:4~6月
★外来生物

ミズワタクチビルケイソウ

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★外来生物
 殻長が300マイクロメートル以上にもなる大型のケイソウ(河川でみられる一般的な珪藻類は数十~100マイクロメートル程度)。 礫などに固着するための粘着性物質を細胞下部から分泌し、粘着性物質は樹上に発達し複雑に絡み合い群体を形成し、河床礫にミズワタ状の付着物を形成します。その結果、河床一面が茶色く覆いつくされてしまい、底生生物や魚類の生育に大いに影響することになります。
 ミズワタクチビルケイソウが進入した河川に出かけた場合には、釣り具やたも網、長靴、ウェーダーなどにケイソウが付着し、その後、殺藻せずに他の川で使用すると、分布域を拡大させてしまう可能性があります。 長野県水産試験場で行った試験結果では、ミズワタクチビルケイソウは5%塩水、60℃以上のお湯、濃度50%以上のエタノールのいずれかに1分間浸けると死亡するそうです。拡散防止のため必ず殺藻しましょう。

オオフサモ、ミズヒマワリと共にどのような経路で進入してきたのは分かりません(人的な要因であることには間違いないと思います)が、これ以上の拡散は防ぎたいものです。

参考
・水草ハンドブック 2018年7月31日初版発行 発行:新潟大学教育学部
・環境相ホームページ
・令和2年度公開研究発表会 多摩川水系で確認された外来付着珪藻ミズワタクチビルケイソウの繁茂実態

2. 魚類

昭和30年代頃までは流域は主に水田、川底も泥で、生息する魚と言えばキンブナ、ギンブナ、ヤリタナゴ、スナヤツメ、ドジョウであったように記憶しています。 今では水害防止を目的に、川底は深く掘り下げられ2面コンクリート張り、一部を除いて川底も砂礫またはコンクリートに変わってしまい、生息する動植物も大いに様変わりしました。

アブラハヤ

在来種?
 本来は渓流部の魚ですが、水源が湧水のせいかこの地域の優占種となっています。

モツゴ(クチボソ)

在来種?
 放流されたものが繁殖したと推測されますが、アブラハヤに続きこの地域では数の多い魚です。アブラハヤと共にカワセミやコサギの重要なエサとなっています。アブラハヤ、モツゴに関しては実釣で確認しています。

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アユ

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参考
 これは、渡良瀬川においてフライフィッシングで釣れてしまったアユです。
在来種
 この10年ほどの間に、2度ばかり遡上を確認しています(サケと異なり、アユは必ずしも生まれ故郷には戻りません)。 比較的長くこの地域に留まるようで(11月の初め頃に水道橋下流部のプールに集結し、一斉に下流へ下ります)、個体数が少ないせいか、良質な藻類が生息していない割には体長17~8cmほどにも育ちます。 その年毎に水門の開閉、水位、水質などの影響を受け、東京湾から荒川、新河岸川を経由してやってきます。
 アユは目視でも、石についた藻類の食み方、ヒラの打ち方などで容易に判別できます。

カワムツ?

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参考
 多摩川水系小菅川で釣れたオイカワ と 渡良瀬川で釣れたカワムツ
移入種
 目視のみで、確認したわけではありません。体側の縞からカワムツ、またはオイカワと思われる最大体長15cmばかりの魚を目撃しています。
 いずれも本来は西日本の魚でしたが、琵琶湖産アユの稚魚やヘラブナに混じって放流されたものが定着・拡散された移入種。

3. 爬虫類

スッポン

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在来種?
 三園橋 外山橋間に少なくとも10匹以上は目視できます。大は甲長30cmほど、小さなものも確認できますのでこの辺りで繁殖しているようです。

ミシシッピアカミミガメ

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★外来生物
 練馬区、または東京都が駆除したのでしょうか?今ではあまり見かけなくなりました。数年前には甲長30cmを超すものも見かけました。

シマヘビ

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在来種
 昔からこの地域でよく見かけるヘビです。

アオダイショウ

在来種
 シマヘビと共にこの辺りで見かける代表的な大型ヘビです。

4. 鳥類

カワセミ

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在来種
 カワセミは縄張り意識が大変強く、この辺りの範囲ですと1番い分と言ったところでしょうか?

キジバト

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在来種

ドバト

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 原種カワラバト(ヨーロッパ、中央アジア、北アフリカなどの乾燥地帯に生息)を飼育改良した家禽

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 この辺りで見かける猛禽類と言えば、ツミ(全長26cm(オス)、30cm(メス))くらいのものですが、あの小さな体でハトを襲うのでしょうか?
 それとも、石神井公園(三宝寺池中之島)に営巣するオオタカがやってくることがあるのでしょうか?
 時折、ハトの死骸を見かけます。残酷なようにも見えますが、捕食者にとってはこれが野生で自然界を生き抜くと言うことではないでしょうか?

カルガモ

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在来種
周年この地に生息
 近頃ではマガモが越夏することがあり、カルガモとのハイブリッド(通称:マルガモ)も時折見かけるようになりました(右の個体がその一例)。
 その混ざり具合には、カルガモの特徴のよくでたもの、マガモの特徴がよくでたもの、中間的なものなど、見た目実に多彩なものが生まれるようです。

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 一般的にカルガモの産卵数は10~12個程度と言われていますが、この地域では、生息密度からであろうか?産卵数は6~7個のようで、その内、カラスなどの天敵から逃れて成鳥となることができる個体数は1~2羽のようです。
 秋から春にかけて、渡りのカモ(マガモ、コガモ、時折オナガガモ)もこの地域にやってきます。不思議なことに、隣の黒目川には毎年多くのヒドリガモが飛来しますが白子川ではお目に掛かったことがありません。

ハクセキレイ

 東京ではずっと冬鳥でしたが、1970年代になって繁殖するものが出現しています。都会に順応した鳥のひとつで、人を恐れず、今では人通りの多い大泉学園駅構内や市街地でも周年普通に見かけます。
 ところが、在来のキセキレイ、セグロセキレイは環境の変化からでしょうか?このところあまり見かけなくなりました。常食としているユスリカやコカゲロウなどの水生昆虫が減ってしまったからではないでしょうか? それに、水生昆虫が減るとそれを常食としている魚類も減るもので、近頃ではカワウの飛来もまるで確認できていません

近年、俄に増殖を繰り返しているミズワタクチビルケイソウの影響は計り知れないものがあるように思います。

ミズワタクチビルケイソウは外来種であって、本来白子川に生息していたものではありません。 川底の変化がたまたまミズワタクチビルケイソウの生育に適していたこともあるかもしれませんが、生態系を乱すコモチカワツボ、ミズワタクチビルケイソウと言った外来種の増殖・拡散は、(当初その原因が分らずにいたとはいえ)釣りや底生生物の調査など人的な要因であったことは間違いないことと思います。

近年、釣人やや底生生物の調査を行う方々は外来種拡散を意識して釣り具や調査機器、ウェーダーなどの消毒に心がけていると思います。ところが、一般の方々にはまだまだ外来種拡散防止についての意識は低いように感じます。

過去にはササゴイやイカルチドリと言った珍しい鳥も目にしたこともあります。SDGs(Sustainable Development Goals)が叫ばれている昨今、その本質を正確に捉え、何時までも白子川が自然豊かな川であって欲しいものです。

5. 昆虫類・甲殻類

コカゲロウの仲間

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自宅で採集したコカゲロウの仲間の液浸標本

数年前までは、白子川から7~800m離れた自宅でも、周年に渡って街灯に集まるコカゲロウを見かけたものです。専門家に同定していただいたところ、主なものはサホコカゲロウ、Hコカゲロウとのことであり、シロハラコカケロウ、タマリフタバカゲロウと思われる成虫も捕獲しています。
 近年は、河川工事による砂泥流出の影響か?ミズワタクチビルケイソウの侵入・拡散の影響か?自宅ではその姿を滅多に見ることがなくなってしまいました。

シマトビケラの仲間

 自宅でコカゲロウを採集している際に、コガタシマトビケラの成虫も見かけました。

トンボの仲間

 シオカラトンボ、コシアキトンボ、アキアカネなどが見られます。

ホシミスジ

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アサギマダラ

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参考
 この個体は高尾山で撮影しました。

アカボシゴマダラ

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参考
 この個体は柳瀬川英橋近辺で撮影しました。
★特定外来生物
 首都圏に多い。白化型もときたま見られます。

この他、アゲハチョウ、ツマグロヒョウモン(本来、暖かい地域を好むチョウですが、地球温暖化の影響を受けて、1980年代後半頃から生息域を広めています。)、ヒメアカタテハ(移動性が高く、夏から秋にかけて、温暖地から寒冷地に向かってどんどん分布を広げているようです。)なども見かけます。

アメリカザリガニ

★外来生物
 時折目視でも確認できます。何故か、最近は小型のものばかりです。

6.番外編

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2022.06.07現在の小泉牧場 以前は50頭ほどの乳牛がいました。

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2022.07.07現在の小泉牧場 牛舎の2/3が取り壊され、乳牛は25頭ほどに減りました。

7月ともなるとミズヒマワリが開花し、様々な訪花昆虫(チョウ,ハナアブ,ハエなど)を誘引します。

ツマグロヒョウモン♂

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ヒメアカタテハ

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アオスジアゲハ

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また、学園橋から外山橋にかけては、コンクリート2面張りとは言え、白子川が大きく蛇行しているところでもあり自然が一番多く残されたところです。

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夏場はハグロトンボが涼しげに乱舞し、かつての白子川を懐かしく思い出させてくれます。

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この区間ではヘビやスッポンの他、多くの魚も生息しておりカワセミの姿もよく見られます。

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暑い日には、ドバトも川の流れで体を冷やすようです。

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大・中・小のスッポンが見られます。この他にも甲長30cmを優に超す巨大なものも見かけますので、確実に繁殖を繰り返しているようです。 肉食のスッポンがこれだけ生息していけると言うことはそれだけエサ(ザリガニ、エビ類、魚類など)が豊富だと言うことです。水路化してしまったと言え、白子川もまだまだ捨てたものではないですね!

以 上

文責 鈴木 伸一

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